6 多項の加法定理
ついでに、もうひとつ別の方向の加法定理の拡張も紹介しておく。
2 節の (3) のように、
の加法定理は
,
によって次のように
書き表すこともできる。
これらは、元の加法定理 (1),(2) とは
別の対称性を持っている。
これらを用いて、3 項の
,
の展開式を見てみる。
まず (9) より、
となるが、これに
の加法定理と (10) を
用いると、
同様に、(10) より、
のようになる。
今、
の
次基本対称式 (
)、
すなわち
から
個を選んでそれらをかけたものの、
個の選び方すべての組み合わせに対する和を
とする。なお、
としておく。例えば、
となるが、これを用いれば、(9),(10),(11),(12) は
に対し
のように表すこともできる。
実は一般に、
となることが証明できる。
その証明は、オイラーの公式とその指数法則を認めれば、そう難しくはない。
となり、
を展開すれば、
となることが容易にわかる。よって、実部虚部に分ければ、
となるので、(16) の実部が (15) に、
(16) の虚部が (14) になることがわかり、
これらが示されたことになる。
なお、(14), (15) の外にある
の
積を
の対称式にかけ算することで、
通常の加法定理のように
(14), (15) を
と
の
次の項の和、差の形に
直すこともできる。
例えば、
といった具合である。
竹野茂治@新潟工科大学
2025-09-24