6 通常の方法
まずは、定理 2 の通常の証明を簡単に紹介する。
方程式 (2) に、原点で段差を持つ階段関数の初期値

(
24)
を与えた問題を Riemann 問題 と呼ぶ。これは、
の自己相似形の、区分的に滑らかな解を持ち、
に対し、
を満たすことが知られている。この最後のものから、
であることもわかる。
さらに、方程式 (2) は発散形で、
不連続線上では Rankine-Hugoniot 条件を満たすので、CFL 条件
を満たす
,
に対し、
が成り立つ。この最後の式から、
すなわち、

(
25)
がわかる。つまり
の
上の
での積分平均が
となる。
命題 4
が
上の、区間
に値を取る実数値関数で、
が区間
上で下に凸ならば、
が区間
上で上に凸ならば、
この命題 4 は Jensen の不等式 と呼ばれる。
積分を Riemann 和に分けて、
それに凸に対する不等式を適用すれば容易に得られる。
今、
とすると、
(25) と命題 1、
命題 4、
および
により、
が成り立ち、よって
と
なるので、命題 1 より
が
言えることになる。
これが、定理 2 の通常の証明の流れである。
竹野茂治@新潟工科大学
2020-02-28