6 Bn の評価と極限
次に,
の評価, およびその極限を考察する.
本節では, (20) と (21) の
式を使って,
を一旦行列式形に表す.
と書くことにすると,
となるので,
の形となる. なお,
は, その前の式の項を一つずつ順番に
名付けることにする.
まずは
から考える. (19) より,
であり, これは
を因数に含むので,
とすると,
で,
,
により
の形に変形でき, (16) と補題 3 により
に対する
の一様有界性と 0 への収束性が
得られる. なお,
とした. よって,
は一様有界で,
のときに 0 に
収束する.
次は
を考える.
は二重積分の形にまとめているが, 実際には,
の積分と
の積分の積の差の形に
なっていて, よって,
の連続性と補題 3 により
に対して一様有界で, その極限は,
となる.
あとは
,
であるが, これらは 0 には収束しないので, 単独で考える代わりに, 連続関数
をかけて
で
積分したものを考える.
まずは,
から.
であるが,
を
と置換し,
を
と置換すると,
,
で,
となるので,
となるが,
より
は
に関して有界,
も有界で,
より
なので (
は
の絶対値), Lebesgue 収束定理により,
では
(34)
に収束し,
では 0 となることがわかる.
の積分も同様に,
で
を
と置換し,
を
と置換すると,
,
で,
より,
なので,
の場合と同様に有界性が言え, その極限は,
では
(35)
に収束し,
では 0 となる.
(34), (35) の極限の値を
求めるために,
の
,
での値をまず計算する.
(18), (22) より,
なので,
(36)
となる. よって, (19), (36) により,
となって, 同じ値となる. また,
は, 置換して順序交換すれば,
となる. よって, これらを総合すると,
は
に関して一様有界で,
(37)
となる.
は
の外では 0 なので, Fubini の定理より,
(38)
が成り立つが, 命題 4 より, この右辺は
に対して
となる. また, (38) の左辺は (37) と Lebesgue 収束定理より
となる.
よって, (32) を満たし, かつ
となる
,
が取れれば,
(39)
が得られることになる.
そのような
,
の存在は, 以下のように保証される.
例えば 0 ではない
を
(= 急減少関数の族) で
(40)
なるものと取る.
それに対して
とすると, これらは (16) を満たし,
なので
となり, また
より,
となるので
となる.
実際に (40) を満たす
としては, 例えば
(41)
などがある.
竹野茂治@新潟工科大学
2023-02-18