5 極座標変換による計算
前節は、直接 (2) の累次積分を計算したが、
(2) の被積分関数は極座標に向いていそうである。
ただし、積分領域は円の一部ではなく正方形なので、
そちらは極座標向きではないが、それをあえて極座標で変数変換して考えてみる。
,
とすると、(2) の積分領域
は、
では
に移る。ここで
は、
では
より
,
では
より
となるので、
(15)
である。これにより (2) は、
のように積分できる。
は、
と置換すると、
となるので、
は
(16)
となる。あとはこの
を求めればよい。
なので、
と置換すると、
より
なので、
となる。なお、これは
のところで広義積分となることに注意する。
そのため積分範囲の 1 を
と書いておく。
ここでさらに、
と置換すると、
なので、
となる。さらに
とすれば、
(18)
となり、広義積分も解消された形となる。
あとはこの分数式を部分分数分解して積分すればよい。
の形に分解する。
まず、両辺に
をかけて
とすると
となる。
同様に
をかけて
とすると
となる。
また、両辺に
をかけて
とすると、
となるので
,
となる。
あとは
,
のみであるが、右辺の確定した項の和は
となり、よってそれを移項すれば
となるので
、
結局
となることがわかる。よって、
は、
となる。(16) より
は
(19)
となることがわかる。
なお、これを前節の結果 (14) と比較すると、
すなわち、
(20)
でないといけないことになるが、
,
とすると
,
,
で、
なので、
より
となって、
確かに (20) は成立する。
竹野茂治@新潟工科大学
2025-06-20