2 デルタ関数と問題
デルタ関数
は通常の関数ではなく超関数で、
通常は
(1)
のようにみなされ、連続関数
に対し
(2)
のような性質を持つものとして知られている。
当然、通常の実数値関数にはそういうものはなく、
数学では
上の汎関数 (
) として、
(3)
を満たすものとして定義される。
一般に超関数
に
関数
をかけた
も
上に定義でき、それは
(4)
となる。そして、超関数
の微分
は、
(5)
の部分積分形で定義される。
さて気になった式というのは、デルタ関数
に
関数
をかけた
の導関数であるが、
当然積の微分から、
(6)
となるのであるが、デルタ関数の性質 (1) から、実は
(7)
となることが知られている。ここからすると、
積の微分 (6) は、
(8)
となるような気がするが、一方、微分の前に (7) を適用すると、
(9)
となって、(8) と合わないような気がする。
これは、果たしてどちらが正しいのだろうか、という話である。
竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-27