5 周期関数の導関数

周期関数 $f(x)$ が微分可能なとき、 その導関数も周期関数となり、次のことも言える。

命題 5.1

証明

$T_0=\mathop{\rm Per}(f)>0$ とする。 $f(x+T_0)=f(x)$ がすべての $x$ について成り立つので、 この両辺を微分すれば $f'(x+T_0)=f'(x)$ となり、 よって $f'(x)$ も周期関数で $T_0$$f'(x)$ の周期のひとつ であることがわかる。

次に $\mathop{\rm Per}(f')$ を考える。 まず $f'(x)$ の基本周期がないとすると、 命題 3.1 より $f'(x)$ は定数でなくてはならず、 よって $f(x)$ は定数かまたは 1 次関数となるが、 そのいずれも基本周期を持つ周期関数にはならず、仮定に反する。 よって $f'(x)$ は基本周期を持つ。

今、 $\mathop{\rm Per}(f') = T>0$ とすると、$T_0$$f'(x)$ の正の周期だから、 命題 4.1 より $T_0/T$ は正の整数となり、 $T_0=mT$ と書ける ($m$ は自然数)。 すべての $x$ に対し $f'(x+T)=f'(x)$ なので、この両辺を積分すると、 $f(x+T)=f(x)+a$ ($a$ は定数) となる。よって、

$\displaystyle f(x+T_0)$ $\textstyle =$ $\displaystyle f(x+mT) = f(x+(m-1)T)+a = f(x+(m-2)T)+2a$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle \cdots \ =\ f(x)+ma$ 
となるが、$f(x+T_0)=f(x)$ なので、$ma=0$ となり、 よって $a=0$ となるから、すべての $x$$f(x+T)=f(x)$ が 成り立つことになる。

つまり $T(>0)$$f$ の周期となり、 命題 4.1 より $T/T_0=1/m$ は 整数になるから $m=1$ であることがわかり、よって $T=T_0$、 すなわち $\mathop{\rm Per}(f')=\mathop{\rm Per}(f)$ が示された。


竹野茂治@新潟工科大学
2025-05-29