の行ベクトル
が線形従属の場合を考える。
結論から言えば、この場合は
は独立にはならない。
本節はそのこと、すなわち (10) が
成り立つとして矛盾を示す。
まず、すべての
に対し
と
してよいことを示す。それは、もしある
に対して
ならば
(定数) となるから、
となって
が連続確率変数ではないことに
なるからである。
を
のベクトルが張るベクトル空間、
すなわち
の有限個のベクトルの線形結合の全体 (
を含む最小の部分空間) とする。
の
次元を
とすると、線形従属の仮定から
で、
から
線形独立な
個のベクトルを取ることができる。
の添字の順序を変えることで、その
個のベクトルを
とする
ことができ、残りの
(
) は
すべて
の
線形結合として書ける、すなわち
は、
の形に書ける。
まず、(10) が成り立つとき、
その
のいくつかを
に
変えることができることに注意する。
例えば (10) で
とすると
(18) の係数の
を正のもの、負のもの、
0 のものに分類する。
の順序を交換すれば、
の順序が変わるので、
はすべてが 0 にはならないから、
である。
これに合わせて、(10) の不等式
のうち
の部分を逆向きに変え、
さらに
の部分、
および
の部分は
と
することでその不等式を消して、
を、
を満たすように取ると、
が従う。
よって、(24) の場合、
(22) の左辺からは
に関する
ものが消える。
の独立性の仮定から、
その左辺は
に関する確率の積となり、よって

は正規分布に従うのでこれらはいずれも 0 ではなく、
よって
では
起こりえないので矛盾となる。
結果として、
の行ベクトルが線形従属の場合は、
は独立にはならないことが示された。
竹野茂治@新潟工科大学