は常に
の形に書き表すことができる。
この (7) は、単位球面の 3 次元極座標表現 (
) な
ので、明らかであるが、一応示しておく。
、よって、
となる
が
の範囲でただ一つ決定する。
の場合は
より、
となり、
となるから
は例えば
とでもすれば
よい (この場合
は一意には決まらない)。
の場合は、
より
で、
が
の範囲でただ一つ決定する。
は、図 3 のように、
原点から単位球面へ向かうベクトルで、緯度 (中心からの仰角) が
、
経度 (
平面への射影の
軸からの偏角) が
で
あるようなベクトルとなる。
,
,
に対して、
行列式とスカラー三重積の値は等しい。
また、
,
,
が作る平行六面体の体積を
と
すると、
となる。
符号は、
が右手系のときにプラス、
左手系のときにマイナスとなる。
ベクトル解析の本を見れば大抵載っているが、一応示しておく。 (3) より、

後半であるが、スカラー三重積はまず
であり、
は
と
が
なす角 (
) となる。
は、
と
が作る
平行四辺形の面積になるので、それを平行六面体の底面と見れば、
その高さは、その底面に垂直な方向
への、
の正射影
となる。
ただし、
であれば
なので、
高さは
となる。
よって、(10) の右辺は
となる。
となるのは、
のときなので、
が底面に対して
と同じ側にあるとき、
よって
,
,
は右手系となるから、
,
,
は右手系。
逆に
となるのは、
のときなので、
が底面に対して
と反対側にある。
よって
,
,
は左手系なので、
,
,
は左手系となる。
なお、
の場合は
より三重積は 0 となるが、
この場合
,
,
は同一平面にあるので
も 0 となり、やはり (9) は成立する。
行列式の性質により、
3 次元ベクトル
,
,
がいずれも
単位ベクトルで、互いに垂直な場合、これらを 正規直交系 と呼ぶ。
,
,
が正規直交系ならば
となることがわかる。
,
,
が右手系の正規直交系ならば
の形に表すことができる。
ここで、
は (7) の
右辺のベクトル、
,
は、
まず、
,
,
は正規直交系で、
まず、
を
の形に書くことは、
補題 1 により可能で、
これに対し、
,
は
に
垂直な平面上にあるので、
に垂直な単位ベクトル
,
の
線形結合 (スカラー倍の和) で書けることになる。
しかも、
,
,
は右手系の正規直交系、
,
,
も
右手系の正規直交系なので、その平面上で、
,
は、
,
をある角だけ
を軸として回転したベクトルとなる (図 4)。
その角を
とすれば、
なお、参考までにこの (12) の成分をすべて書き下すと、
以下のようになる。
の列ベクトル
,
,
は正規直交系となる。
よって、
である。
逆に、
,
,
が正規直交系であれば、
は直交行列となる。
ベクトルはすべて列ベクトルなので、ベクトルの内積は、
転置行列との積で書けることに注意する。
は直交行列であるから
であるが、これは、
,
,
は正規直交系となる。
逆に、
,
,
は正規直交系であれば、
上の計算より
となることがわかる。
行列式の理論により、
となるから、
は逆行列
を持ち、
よって
となり、
は直交行列となる。
に対し、
とすると、
任意のベクトル
,
に対し、
、
とすると、補題 4 より
,
,
は正規直交系で、
,
,
であり、
補題 2 より、

なお、(18) の内積の方は、行列の積を用いて
軸を回転軸とする
回転 (回転軸ベクトル
) は、
図 4 と同様に考えれば、
軸方向の単位ベクトル
を
に、
軸方向の単位ベクトル
を
に移動することがわかる。
そしてそれにともない、点 P
の位置ベクトル
は、
軸に関する
回転は、行列
による一次変換で表されることになる。
この
を
軸に関する 軸回転行列 と呼ぶ。
同様に、
軸の
回転は、
軸の
回転は、
, および任意の角
,
に
対して、次が成り立つ。
例えば
で考えれば、
![\begin{eqnarray*}\lefteqn{A_x(\theta)A_x(\phi)
\ =\
\left[\begin{array}{ccc}{...
...&{\cos(\theta+\phi)}\end{array}\right]
\ =\
A_x(\theta+\phi)
\end{eqnarray*}](img133.png)
となるから、
後半もすぐに得られる。
,
の場合も同様。
一般的ではないが、本稿では次のような記号も用いる。
3 次正方行列
と
3 次元列ベクトル
に対して、
は 3 次の正方行列となる。
, および 3 次元列ベクトル
,
に対して、次が成り立つ。
(25) の前者が成り立つとすると、
後者が示されることを先に示す。
とすると、
より
よってあとは (25) の前者を示せばよい。
,
とすると、
なので、

の固有値
はすべて
。
特に、3 次の直交行列では、必ず
という固有値を持つ。
複素数ベクトル
,
(
,
は
実数ベクトル、
は虚数単位) の内積
、
大きさ
を、
の固有値を
、それに対する固有ベクトルを
とする。
は一般には複素数
、
は複素数ベクトル
で、
ゼロベクトルではない。
なので、

より
が得られる。
よって実数の固有値は
のいずれかとなるが、
3 次の直交行列の固有方程式
はすべて
なので、
は以下のいずれかの形となる。
でなければいけないので、
より、
のときは定数項は
だから上の 1. か 3. か 5. で、
この場合はいずれも
を解に持つ。
のときは定数項は
だから上の 2. か 4. か 6. で、
この場合もいずれも
を解に持つ。
なお、3 次の直交行列の場合は、
固有方程式の具体的な因数分解もそれほど難しくない。
とすると、


と書けば、
,
,
は単位ベクトルなので、
は、
となるが、
その範囲はもう少し狭くなる。
の対角成分の和
は、
なら
,
なら
である。
(29) より、右側の 2 次方程式
の場合、
補題 8 よりその解はすべて
でなくてはならない。
よって、
より
となり
この場合は補題が成立する。
の場合は、
と
なるのでやはり補題は成立する。
なお、この
の場合は、解は
の最大値、最小値を考えるには、
と
書くこともできるので、
,
,
,
を変数と見て
考えることもできるが、
制約条件が色々あるため、その方向ではかなり難しい。
竹野茂治@新潟工科大学