の計算を紹介する。
公式集や数式処理ソフトでも簡単に得られるかもしれないが、
ここでは少し地道な計算を示し、多項式としての形や
,
の
因数を出した形、および [T1],[T2] の形がどうなるかを紹介する。
なお、
が奇数か偶数かで計算のしやすさに違いがあることに注意する。
例えば
が奇数の場合は、[T2'] より
を
とすれば、
の積分は置換積分により、

が奇数の場合、
の [T2'] の形が得られていれば、
そこから
の [T1'] の形を得るのは難しくはなく、
ほぼ (24) の計算だけで済むし、
また、上の計算からもわかるが、
直接 (15) を使って計算しても、
が奇数の場合は後ろの定積分の項は 0 となるため、
一方、
が偶数の場合は [T1'] の形から [T2'] を求めるのは
それほど易しくはない。(23) を使えば
一応計算できるのであるが、
の多項式への変形や、
逆に
の式から
の式への展開などが入り、
が奇数の場合よりも計算量が多くなる。
この場合はむしろ多項式として直接 (15) を使って計算し、
それを因数分解して [T2'] の形を作った方が、
が大きい場合には
早いかもしれない。
それでは、順に
(
) を計算する。
なので、定数
に対して
![\begin{eqnarray*}T[\phi_0]
&=& T[x]
\ =\ T\left[x+\frac{1}{2}\right]
\ =\ ...
...frac{1}{2}\right)^2-\frac{1}{4}\right\}
\ =\ \frac{1}{2}(x^2+x) \end{eqnarray*}](img161.png)
は、(23) を使えば、
![\begin{eqnarray*}\phi_2(x)
&=&
2T[\phi_1(x)]
\ =\
T[x^2+x]
\ =\
T\left...
...ght)
\ = \
\frac{2x+1}{6}(x^2+x)
\ = \
\frac{x}{6}(x+1)(2x+1)\end{eqnarray*}](img165.png)

次は
であるが、(25) を使うと、
この場合は
なので、
となり、よって
は、(23) で計算すると、
より、
![\begin{eqnarray*}\phi_4(x)
&=&
4T[\phi_3(x)]
\ =\
T[(x^2+x)^2]
\ =\
T\l...
...+1)-\frac{\phi_2(x)}{2}
\ =\
\frac{\phi_2(x)}{5}(6\phi_1(x)-1)\end{eqnarray*}](img174.png)

を直接 (15) から計算すれば、


は
で割り切れるので、
実際に割り算を実行すれば、組み立て除法なら 3 行位の計算で済み、

より、
前と同じものが得られることがわかる。
は、
なので

以下、計算結果のみを示す。紹介するのは、
ファウルハーバーの定理の形の式 ([T1'], [T2'])、
因数分解の形、および展開した式の 3 つの形である。
なお、因数分解式は、[T1'], [T2'] の形の
,
の
因数だけの因数分解式を紹介するが、
,
の部分が
さらに有理数係数の範囲で因数分解できるかもしれないが、
それは確認していない。
また、手計算での計算例なので、
計算間違いなどが含まれる可能性もある。

ここまでの式を見ると、これらの式にはさらに次の性質があることがわかる。
を展開すると、次数の高い最初の 2 項は
以下のようになる:
は、
が偶数なら奇関数、
が奇数なら偶関数になる
が 3 以上の奇数の場合、
は
でも割り切れる
なお、
から
を計算する (24) と (25)、および [T1'] より、
,
を介さずに
から 直接
を求める式
から
を直接求める式を作ることもできなくはないが、
その計算は、以下に示すようにあまり易しくはない。
とすると、
として、
を求める微分方程式
が得られる。この左辺を
で割れば、
より、
から
を計算する公式
が得られる。
左辺は
の多項式であるから、
定数
は、右辺の積分で平方根の式
が
残らないように選べばよい。
例えば、
から (31) を用いて
を計算してみる。

となり、
そのとき、

が得られるが、
計算は
の計算 (26) に比べればかなり面倒で、
これで
を計算をするのはあまり実用的ではない。
竹野茂治@新潟工科大学