の
の
評価の精密化を行う。
これは、実は
の展開式 (54) に近い形になる。
この場合も、(41) により、
は得られていたが、
のときは、
反転公式 (18) と (43) により、
のときは
でも成立すること、
および
の場合の展開式
を
で得て、かつそれが
の場合にも
成立することを示すことが本節の目標である。
先に
の (57) を考え、
そのあとで
に対する (56) と (57) を考えることにする。
なお、(57) を求めるには、
上の (56) と同じように
反転公式 (18) と (54) を
用いる方法もあるが、
実はそれだと
の場合でも簡単には式が得られない。
それは、
(
) のとき、
反転公式 (18) と (44) を
用いて書き表してみると、
が残る和の部分で、

の係数が
と二項係数の積の和になって、
それを求めるのが容易でないからである。
もちろん、最終形を予想した上で帰納法を用いる手段もあるが、
むしろ積分に戻って、
と同様の計算により導く方が早いので、
ここではその方針で考える。
,
とする。
この場合、
は、
を用いて 2 つに分ける。
の積分のうち、
のものについては、
で可積分なので、
は
と置換すると、

は、ルベーグ収束定理により
に対しては、
と置換すると、

また、
については、
では
なので、

よりルベーグ収束定理が使えて、
での積分に収束する。よって、
に等しいので、
補題 4 の 4. により
に対して、
補題 5 より、
の (56) も含んでいる。
この
の展開式 (61) と
の展開式 (54) を比較すると、
の負の巾の項が
になっていることと、
定数項の部分の
が
になっている
ところが違うだけで、他は全く同じ形になっていることがわかる。
次は、この (61) が
の
への拡張に対しても成り立つことを示す。
以後、(61) の係数を、
(57) のように
まずは
の場合、すなわち (56) が
、すなわち
でも成立することを示す。
それには、(10) のリフティングと、
(41) の
の評価を用いて、
に関する帰納法により証明すればよい。
、すなわち
では (56) が
成り立っているので、
に対して (56) を
示せばよい。
今、
までは (56) が
成り立つとする。
に対しては、(10) を用いて
を一つ大きいもので表すと、
これで、帰納法により (56) が
すべての
に対して成り立つことがわかる。
なお、この
に対する証明を振り返ると、
は実質的には使っておらず、(63) の
「
によらない」リフティングの式に、
「
によらない」(41) の評価式と、
(56) の
を
、
を
した式を代入して整理するだけの計算を行っている。
(56) は
では
成立することがわかっているが、上の計算が「
によらない」ので、
それに対しても同じ計算を行うことができて、
そして当然すでに成り立つことがわかっている結果が得られる。
だから、前の
に対する性質 [i]
[v] に対する証明と同じように、
で「
によらない計算」で成り立つことがわかることによって、
でも同じ計算によって成立することがわかることになる。
これは、
の場合の (62) でも同じ構造であり、
よって、それがすでに
(
) で成り立つこと
が示されていることによって、
でも成り立つことが自然に示されることになるので、
これで (62) がすべての
,
で成り立つことが言えることになる。
なお、もちろん、帰納法で
の場合の (62) を直接証明することも可能であり、
具体的には、
,
に対して、
の
ためであり、この右辺をそのまま評価すると右辺の
の係数は、
(58) と同様の計算により
いくつかの項の和になってしまうが、
逆に
を (63) の左辺に回して
倍に変えてやると、
左辺の
の同類項を 2 つの項だけの差にでき、
それが (65) の左辺である。
そしてそれにより証明を多少簡略化できる。
竹野茂治@新潟工科大学