まず、,
に対して、
を
が 1 つ大きい
で表す。
以後簡単のため、
[i][v] の性質は、この記号を使うと以下のように書ける。
これにより、,
に対する
が定まり、
そしてそれにより、再び (10) を用いることにより、
,
に対する
を定義することができ、
この手続きを繰り返すことによって、
,
を満たす任意の非整数の
に対する
を
で定義できることがわかる。
この に拡張された
に対し、再び [i]
[v] が
成り立つことを次に示す。
まず [i] から。 とする。この場合は、(9) より
そにれは、まず左辺の に (9) を用いて、
この証明では、一つ小さい を定義する式 (9) と [i] を用いているだけなので、
これはそのまま
の場合にも用いることができ、
よってこれで帰納的に
のすべての非整数の
で [i] が成立することになる。
さらにこの証明を振り返ると、実質的に であることは
使っておらず、[i]
[v] の性質のみを用いていることがわかる。
すなわち、
に対してはすでに成り立つことが
知られている式に対して当然成立する機械的な計算を行っているだけであり、
その同じ計算を、機械的に
の場合の証明に用いている
形になっていて、行われる式変形は両者で全く違わない。
[i] 以外の [ii][v] の性質の証明もこれと同じで、
その証明は [ii]
[v] を用いた式変形のみで、
で成立する計算と全く同じ式変形を
に対して
実行するだけであり、よって
と同じ結論が
自然に
でも得られることになり、
これで
でも成り立つことが保証される。
なお、この一見手抜きにも見える証明は、数学では本来複素関数論の分野の
「解析接続」という手法で正当化されるもので、
本稿の の
への拡張自体がその「解析接続」に
なるのであるが、本稿では
,
,
は実数値の場合しか
扱わないので、表面上「解析接続」は用いずに「(9) に
よって拡張する」という言い方をしておく。
に対する
は、(9) を
繰り返し用いることで帰納的に定義したが、
実際に (9) を繰り返して得られる公式を一つ紹介する。
任意の自然数 に対し、
証明
の場合は (12),(13) は容易に
(9) に一致することがわかる。
で (12),(13) が成立するとすると、
この補題 2 を用いれば、 の
は
帰納的に考えなくても一度で
に対する
、
すなわち積分を用いた式で表すことができる。
逆に言えば、
に拡張した
は、
実際には (12) の右辺の式で表されるものを
意味することになる。
竹野茂治@新潟工科大学