2 3 人の場合

まずは、3 人の場合の $M_3$ を考える。 3 人で 1 回ジャンケンをすると、

の 3 通りがあり、(c) の場合は 1 回で終わる。 (b) の場合は、残った 2 人でまたジャンケンをして 1 人の 勝ち残りを決めることになる。 (a) の場合は、また 3 人でジャンケンをすることになる。

つまり、1 回目のジャンケンの結果により、次の試行の状態が だいぶ変わってしまうため、ジャンケンの単純な確率空間の設定、 すなわち、3 人の手の組み合わせを各事象とし、 それら全体の集合とその確率

$\displaystyle
\left\{\begin{array}{l}
\Omega_0 = \{(\omega_1,\omega_2,\omega_...
...displaystyle P_0(\omega_1,\omega_2,\omega_3) = \frac{1}{27}
\end{array}\right.$ (1)
のような設定の元では考察しづらいことがわかる。

ちなみに、(a) になる確率は、(1) の $3^3$ の組のうち、 手が全部同じ 3 通りと手が 3 人とも違う $3!=6$ 通りなので、 $p=p_a=9/3^3=1/3$、 (b) になる確率は、

$\displaystyle p=p_b = \frac{\mbox{(勝つ 2 人の選び方)$\times$(手の種類)}}{3^3}
=\frac{{}_{3}\hspace{-.02em}\mathrm{C}_{2}\times 3}{3^3}=\frac{1}{3}
$
で、(c) になる確率も同様に
$\displaystyle p=p_c = \frac{\mbox{(勝つ 1 人の選び方)$\times$(手の種類)}}{3^3}
=\frac{{}_{3}\hspace{-.02em}\mathrm{C}_{1}\times 3}{3^3}=\frac{1}{3}
$
となる。 (a) の場合は, また 3 人で始めからやるのと同じだから、 回数はあと $M_3$ 回かかることになり、 (b) の場合は、2 人で始めるのであと $M_2$ 回かかり、 (c) の場合はこれで終わりだから、
$\displaystyle M_3 = p_a(M_3+1)+p_b(M_2+1)+p_c\times 1 = \frac{M_3+M_2}{3}+1
$
より
$\displaystyle
M_3 = \frac{M_2}{2}+\frac{3}{2}$ (2)
という漸化式が得られる。

$M_2$ の場合も同様にして、あいこの確率が 1/3、 それ以外は 1 人勝ちになるので、

$\displaystyle M_2 = \frac{1}{3}(M_2+1) + \frac{2}{3}\times 1
$
より
$\displaystyle
M_2 = \frac{3}{2}$ (3)
となる。よって $M_3$ は (2) より
$\displaystyle
M_3 = \frac{9}{4}$ (4)
となる。

前述のネット上にある説明はだいたいこのような説明であり、 これを一般化した形で $n$ 人の場合の $M_n$ の漸化式を考察する、 という方向が多いようである。

竹野茂治@新潟工科大学
2025-09-08