9 到達時間の比較
この節では、7 節で最後に述べた、
いくつかの解に対する到達時間
,
,
の比較を行う。
まず
,
の式を求める。
7 節でみたように、
は
,
に対し
としたものに対する (31) の形の解の
到達時間が
であるが、
より、
命題 1 により
となるので、
確かに
となっていることがわかる。
この
の間では
、
すなわち円運動となるが、その間は向心力と垂直抗力の
いずれも半径方向の力だけが働くので、等速円運動となる。
実際、半径
の円運動の加速度は、
であるが、力は
に平行にしか働かないので、
であり、よって角速度
の
等速円運動となる。
では、曲線は丁度半径
の円に接し、
そのときの速度ベクトルも円に接する。
よって、その到達時の速さが円運動の速さに一致する。
その速さ
は、エネルギー保存則 (4) から
求めることができ、
より、
となり、角速度
は
となる。
よって
でかかる時間は
となる。
今、
に対して、
 |
(41) |
と書くことにすれば、(31) の
までに
かかる時間は (30) により
であり、
の部分も同じなので、結局
は、
 |
(42) |
となる。
同様に
は、
に対して
,
に対する (32) による解がかかる
時間であるから、上と同様にして
となることがわかる。
は (30) と
により
であり、
(42) で
とすれば
となるので
となる。
では
より
であるから、よって
を示すには、
の
に関する単調減少性を示せばよい
を少し変形すると、
となる。この最後の式の最初の項を
と書くことにする。
 |
(44) |
これにより、
となる。
さて、(44) より
は特異性を持たず、
よって
を微分すると
となるが、この最初の項は (12) より 0 になるので、
 |
(48) |
となることがわかる。
(46), (48), および
より、
を
で微分すると
となるが、命題 1、および
より
なので、よって
であることがわかる。
これで
の減少性が言えて、
が言えたことになる。
次は
と
を比較する。
の場合と違い
では
には制限はなく、
であるが、
(47), (48) より、
となる。ここで
で、
命題 1 より
なので、
となる。
よって、
に対して、
 |
(49) |
となる。ここで、(44)、及び
の
とき
により
 |
(50) |
が言える (厳密には定理 2 で証明できる)。
よって、(47) より
 |
(51) |
となる。
なお、この右辺の積分は、
で特異性を持つが、
より有限である。
一方、
に対して、(48) より
となるから、命題 1 より
で、よって
 |
(52) |
となるが、命題 1、および (50) より
 |
(53) |
がわかる。よって、(45), (49),
(51), (52), (53) より、
が言えたことになり、
これで任意の
に対して
も示されたことになり、
途中に円の一部をはさむもの
,
よりも
の方が速いことが示されたことになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月24日