行列
で説明する。
添字の部分列を
は互いに異なり、
も互いに異なるとし、
通常は昇順に単調、すなわち
であることが
多いが、一般には単調性は仮定しない。
昇順に単調な場合を「昇順な添字列」と呼ぶことにする。
また、
の
、
の
をこの添字列の「長さ」とする。
の
行目、
列目の要素を順に
並べた
の小行列を
,
のように使うこともあるが、
は
の
行目を上から順に並べた行列、
は
の
列目を左から順に並べた行列となる。
また、
で、
から
を取り除いた
昇順な添字列を表し、
から
行目、
列目
を取り除いた
の小行列を
の場合の
の
余因子は、
と書け、
の余因子行列
は
で、
の場合の
の逆行列は
となる。
(40) より、余因子行列
の成分、
すなわち 1 次の小行列式は、
の
次の小行列式に符号をつけたもの
で、
のとき、長さ
(
) の
昇順な添字列
,
に対して次が成り立つ。
(42) は、(43) の
の場合になっていて、
よって命題 2 は (42) の
拡張になっている。
この命題 2 の証明の前に、次の補題を紹介する。
を
行列、
を 1 から
の範囲の長さ
の
昇順の添字列、
を
次正方行列とするとき、
,
は
証明
![\begin{eqnarray*}\vert(E_n)_J\hspace{0.5zw}S\vert
&=&
\left\vert\begin{array}...
...\ &=&
\cdots
\ =\
(-1)^{\ell'}\left\vert S^{[J]}\right\vert
\end{eqnarray*}](img259.png)
は、

は偶数なので
となって、
(44) の前半が示されたことになる。
後半は、行列式の列の入れ替えを行えば、

命題 2 の証明
とし、
より、
![\begin{eqnarray*}SC
&=&
\left[\begin{array}{cccccc}\vert S\vert\overrightarrow...
...rt S\vert\left[(E_n)_J\hspace{0.5zw}S_{[I]}/\vert S\vert\right]
\end{eqnarray*}](img270.png)
![\begin{eqnarray*}\vert SC\vert
&=&
\vert S\vert^n\left\vert(E_n)_J\hspace{0.5z...
...=\
(-1)^\ell\vert S\vert^p\left\vert S_{[I]}^{[J]}\right\vert
\end{eqnarray*}](img271.png)
である。
また、
については、再び補題 3 より
は
より、
を考えればよい。
![\begin{eqnarray*}\ell-m
&=&
\vert J\vert+\frac{p(p+1)}{2}-\vert[I]\vert - \,\f...
...,-\,\frac{(n-p)(n+p+1)}{2}
\\ &=&
\vert I\vert+\vert J\vert+k
\end{eqnarray*}](img279.png)

は偶数なので
となって、これで (43) が示されたことになる。
命題 2 と同じ仮定の元、
とすると、
証明
、
より、
いずれも命題 2 から容易に得られる。
の仮定を外しても命題 2 は成立する。
証明
のときにも (43) が
成り立つことを示せばよい。
今、
とすると、
の
次式であり、
と仮定すると
となるが、
となる
は高々
個なので、
集積点はなく、よって
「となるようなでは
と なる
は
のみ」
を取ることができる。
よって、
では
だから
に対して命題 2 が成立し、
が成り立つ。ここにでてくる行列式はいずれも
の多項式、
よって
の連続関数で、
のときに
明らかに
とすれば、
のときの (43) が得られる。
の場合は、実際には (43) は、
ならば (42) であるから証明は不要で、
よって
の場合に
と
なることだけ示せばいいので、このような解析的な証明ではなく、
代数的なより易しい証明があるかもしれない。
なお、この後の議論では、
が保証されていない状態で (43) を使う場面がでてくるので、
この系 5 の形に命題 2 を
拡張しておく必要があるのである。
、および
行列
に対し、
が線形独立であることと、
であることは同値。
証明
行列式の展開定理により、
は 1 から
までの範囲の、
長さ
の昇順の添字列全体の集合。
よって、
であることはすべての
に
対して
であることと同値で、
これは
を意味し、そしてこれは
の列ベクトルが
線形従属であることと同値。
竹野茂治@新潟工科大学