4 三角関数の有理関数の積分
次は、三角関数の含まれる有理関数の積分、例えば
のようなものの不定積分を考える。
少し一般化して、
 |
(13) |
を考えることにする。
この積分の標準的な求め方は、
(
) とする
割と面倒な置換積分であるが、
より
となるので、
となる。ここで
とすれば
となり、結局
 |
(14) |
が得られる。
ただし、(14) は、
で考えていて、
より広い範囲で考えると (14) の右辺は
では
不連続になってしまう。
一方で、定義 (13) よりわかるが、
はすべての
で連続につながる原始関数を持つはずなので、
ここでそれを先に考えておく。
そのために、定数
に対し、
以下のような関数
,
を考える。
なお、
は
での
(図 1) の逆関数で、すべての実数
で定義され、
,
となるもの (図 2)、
また
,
の定義域は、
それぞれ
,
の定義域と同じものとする。
図 1:
のグラフ
|
図 2:
のグラフ
|
とすると、
(
) で、
で、
より
となるから、よって
となる。これにより、
 |
(17) |
となるので、
のグラフは、
のグラフを平行移動したもの
になる (図 3)。
いずれも周期は
、そして
は奇関数で、
(
は整数) で不連続:
となっている。
また、
では、
とすると
で、
となり、よって
では
が
成り立つことがわかる。
では、この性質と周期性、および (17) により
となる。
ここから、
,
の段差を解消した関数 (図 4):
は、いずれも連続で (定義域の境界では極限で考える)、
上の考察からすべての
に対して
で
あることがわかり、よって、すべての
で滑らかであることもわかる。
の導関数は、
なので、
となり、よって (13) の滑らかな原始関数による積分は、
 |
(18) |
であることがわかる。これが、
で不連続性の
段差を持つ (14) を、
すべての
に対して滑らかに拡張したものになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2016年12月22日