1 はじめに
この講義の教科書[1]の式 (1.1)
(1)
は、指数関数
、対数関数
の導関数を決定する大事な
極限であるが、教科書[1] ではその証明を省略しているので、
本稿ではそれを紹介する。証明の元になるのは、
の定義
(2)
である。
なお、(2) は
で書いてあるから
この
は自然数を意味し、
(1) は
で書いてあるからこの
は
実数を意味することに注意しよう。
つまり、(1) の極限は、
は整数以外の値も取りながらの極限を意味する。
また、(1) で「
」となっているのは、
(3)
と
(4)
の両方が成立することを意味する。よってこの両方を示す必要がある。
ちなみにこの (1) は、最終的には [1] p13 の
上にある
(5)
を示すためのものである。もし (1)、すなわち
(3) と (4) が言えれば、
(3) で
(
) と
すると
は
を意味し、よって
(6)
が得られ、(4) で
(
) と
すると
は
を意味し、よって
(7)
が得られるので、よって (6), (7) の両方を合わせて (5) が得られることになる。
最初の定義 (2) で
としても、それは 1/2,1/3,1/4,...
というとびとびの
の値に対してのみ
の極限が
になる、
ということしか言えたことにはならず、
(5) はおろか (6) にすらならない。
だから、(5) を示すためには、定義 (2) の
を
実数
に拡張したもの (3)、および
負の無限大の方向の極限 (4) も同じ値になること、
すなわち (1) が必要になるのである。
竹野茂治@新潟工科大学
2021-11-08