4 一般の指数関数
一般の正の実数
(
) の実数乗「
」に相当する
を、
となる
に対し、
 |
(28) |
と定義する。
まず、
に対する
の存在であるが、
3 節、および (26) でみたように、
は増加関数で、(21) より
実数全体から正の実数全体への 1 対 1 の対応を与える。よって、
であれば
となる
が必ず存在し、
かつただ一つ定まることがわかる。
なお、この
は
に対してただ一つ定まるので、
そのような
から
への対応を
の逆関数と呼び、
通常は
のように書くが、
乗とまぎらわしいので、
本稿ではこれを
と書くことにする。
これにより、(28) は、
 |
(29) |
と書けることになるが、これは (2) に対応する。
この (28) により、任意の
,
に対して
の
乗に相当する
が定義されることになる。
なお、
の場合を考えると、
とすれば、
であるから
となるので、よって
自身もこの意味で
「
の
乗」に相当するものになっている。
今度はこの
の性質を見ていく。
まず、(28) より、
ならば
は増加関数、
ならば
は減少関数であることがわかるが、
より、
となるのは
のとき、
となるのは
のときなので、
よって (21) より
のときは
は増加関数で、
,
のときは
は減少関数で、
,
の単調性と漸近性が得られる。また、
 |
(30) |
も言える。
よって、
が正の有理数
(
,
は自然数) であれば、
(24) より
で、
が負の有理数
であれば、
となり、確かに
が通常の「
」に対応したもの、
すなわち通常の有理数乗を含んでいることがわかる。
また、(25), (27) より、
の通常の指数法則 (
,
) が
成り立つこともわかる。
次は、
を考える。
,
とすると、
,
であるから、
となるので、
であり、よって、
の指数法則 (
) が成り立つ。
同様にして、
より
となること (
) も示される。
最後に「
」の指数法則、すなわち
であるが、
,
とすると、
,
となるが、
より
の単調性から
である。よって、
となり、「
」に対応するものが得られる。
竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月2日