8 x→1+0 の評価の精密化
6 節、7 節で
の
の評価を調べたが、
気体の方程式で必要な評価は、
が整数の場合であり、
さらに
の場合は最悪の部分の評価だけでなく、
定数値までの展開が必要になる。
本節と次節で、
,
の場合に対して、
の評価のそのような精密化を行う。
とし、本節では
について考える (
,
,
)。
今のところ、(40), および (39) により、
(43)
は得られている。この後者の
の方を、
(44)
の形に展開することが本節の目標である。
ここで
,
,
は
によらない定数。
なお、気体の方程式で必要なのは、
までであるが、
ここでは一般の自然数
に対して考える。
により、
となるが、
のときに
での order が
となってしまうので、このままでは極限が取れない。
よって、
の部分を
で展開して、
次に
なる項と多項式に分離する。すなわち、
(45)
とすると、
の近くでは
で、これにより、
を以下の 2 つに分ける。
まず、
の各積分を考える。
の場合、
の order は
なので可積分であり、よって積分を
に分け、
に対しては
と置換すると
となるが、
なので、
に対しては、
となる。
の方は、
より
なので、ルベーグ収束定理より
となる。
の項は、
と置換すれば
となるので、結局
は、
となる。
に関しては、
では
なので
ルベーグ収束定理により
の積分はそのまま
とできる。
また、
では
で、
は可積分だから、やはりそのまま極限が取れる。
よって、
は
(48)
となる。あとはこの
を求めればよい。
このあと使用するものを以下にまとめて補題として示す。
補題 4
に対して、
-
,
に対して、
証明
1.
2. 定義 (38) より明らか。
3.
では成立し、
まで成立するとすると、
となって
でも成立する。
4.
以後、
と
書くことにする。
より
となるので、
部分積分により、
となるが、3. より
となり、また、
より
となり、よって
となるので、(49) は
となり、ここから
に関する漸化式
(50)
が得られる。
は、
であり、
に注意すると、(50) より
は、
等となり、これを繰り返せば結局
となることがわかり、また 1., 2. より、
となるから 4. が得られる。
なお、この補題 4 の 1. により、
と同様に、
非整数の
であれば、
に対しても
により
を拡張できることになり、以後そのように考える。
この補題 4 の 4. と (47) により、
結局
は、
となるが、この定数部分は
の拡張を用いれば、
さらに少しまとめられることを以下に示す。
補題 5
非整数の
、および自然数
に対し、
(52)
が成り立つ。
証明
補題 4 の 1. より
となるので、
を示せばよい。さらに、
と書けるので、
(53)
を示せばよい。
のときは、(53) の左辺は
と
なるので成立する。
とし、
までは (53) が成立するとする。
このとき、(53) の左辺を
とし、
分子を 2 つに分けて
とすると、
は、
となるので、よって、
となる。この右辺の和の部分は、
(53) の左辺の
の式に等しいので、
帰納法の仮定により、
となって、
のときにも (53) が成り立つ。
この補題 5 により、
の
に関する
展開式 (51) は結局以下のようになる。
なお、これは (43) の
の式も
含んでいることに注意する。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-01-19