10 K9 の評価
次は
の評価を行うが、これは評価がやや難しい。
先に
の分割や変数変換などをやっておく。
なお、本節では
への
の取り込みは
うまくいかないので、
も 9 節とは
違う形に分けて考える。
まず、
に対して、9 節の (119) を
と 2 つに分けると、
は
で奇対称なので、
となり、さらに
,
,
とすると、
となる。これにより、
の係数を除いた半分
を
以下のように分けることができる。
ここで、(123) の
は
最初の積分で
に関して
での積分、
は
に関する積分の
の部分を
さらに 3 つに分けたもので、それぞれ
のように分けたものを持つものとする。
まずは
の評価を考える。これは、
より、この分数部分は
に関して
であり、
に関しては
が
なので、
となって
は一様有界であることがわかる。
その
に対する極限は、
に関する積分を
と分けることで、
となることがわかる。この極限の考察、
および
の
と
を
入れかえた
の極限
との差に関する検討は、
あとでまとめて行うことにする。
次は
。この評価には、
命題 3 による
となる。
に関する積分に関しては、
の場合は、
により、
となり、また
の場合は
に対して
となるから
となり、結局すべての
に対して
(127)
となることがわかる。
ここに (126) の項の積の
での積分を追加すると
と評価できる。
はここに
の
での積分が
つくので、よって
と評価され、よって一様有界であることがわかる。
の極限は、
とすれば
となり、
(128) で
となるので、
(130)
となる。
次は
。この場合も、
命題 3 により、
(131)
となるので、
により
と評価できる。よって、
となり、一様有界となる。
の極限は、
,
により、
となるが、
より
で、
は命題 3 より
に関して
で
,
と
は
上
なので、
Lebesgue 収束定理が適用でき、
となることがわかる。しかし、この極限
は、
と
の入れかえで値が変わらないので、
の極限
も
同じものになる。よって、
(133)
となる。
最後は
。
しかし、これは単独では有界性は得られないので、
,
を入れかえた
との
差
の有界性を考える。
により、
とすると
は
となるが、ここで
に対して
(135)
と書くことにすると
となるが、
は以下の性質を持つことが容易に示される。
そして、最後の性質より、
(136)
とすると
で、
は偶関数となることも容易に示される。
これを用いて、(134) の
を含む
での積分
を部分積分する。
簡単に
,
と書くことにすると、
となる。ここで、
より、
(137)
とした。
も
同様、
台が [1/2,3/2] に含まれる
級の関数となる。
これにより、(134) は、
となる。この最後の和を
とする。
は
には
よらない
の関数なので、
は
より一様有界、
も
が
で
可積分 (積分値は 2) なので、
と評価され一様有界となる。よって
は一様有界となる。
の極限は、(138) に
Lebesgue 収束定理を適用すれば、
(139)
となることがわかる。ここで、
は、
(140)
とした。
なお、(137) より
で
ある。
は偶関数なので、
(140) は、
となるので
は偶関数であり、
よって (139) の
は、
と書ける。そして、
なので、
(141)
となることがわかる。
これで一応
の有界性、極限が揃ったことになるので、
極限をまとめてみると、
となる。あとは
の極限
であるが、
(125) の
の係数を
とすると、
であるが、
が
上
,
に関して
だから、
Fubini の定理により、
と書くことができる。ここで、
と変形できるので、
は
となる。よって、
の
の係数
は、
となる。
同様に、
の
の係数
は、
であり、
と同様に変形すると、
であることがわかる。よって、
となるので、これにより
は (109) より、
となる。
ところが、
は奇関数なので、
この最後の積分は 0 となり、
よって
の極限
は、
(143)
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-03