2 単振り子の方程式
まず単振り子の微分方程式を紹介する。
単振り子は、長さ
の細長い軽い棒の端に質量
の重りをつけ、
もう一方の端を原点に置き、抵抗なく左右に揺れる状態にしたときの
重りの動きを考える (図 1)。
図 1:
単振り子
![\begin{figure}\begin{center}
\begin{tikzpicture}
% \draw[line width=3pt] (0,0)...
...0:3.5cm) node[right] {$mg(0,-1)$};
\end{tikzpicture}
\end{center}\end{figure}](img3.svg) |
なお、棒の代わりにひもで考えることが多いが、
重りの揺れが大きい状況も考える場合、
ひもだとそれが一直線であり続けることの保証が難しいため、
本稿では変形しない棒でつなぐこととする。
棒の重さは無視し、摩擦などもないとする。
を時刻、重りの位置を
、
棒の鉛直下向きに対する角を
、
棒が重りを引く張力を
、
とする。
このとき、棒の角度から、
(1)
となり、重りの運動方程式は、
を重力加速度とすると
(2)
となる。(1) より、
となるので、(2) を
の方程式にすると、
となるので、
を消去した方程式、および
を消去した
方程式を作ると、
が得られる。
この (3) がいわゆる単振り子の微分方程式で、
非線形の 2 階常微分方程式である。
一方、(4) は 1 階の方程式だが、
以外の未知関数
も含まれるので、
それだけで解くことはできない。
よって通常は (3) を考える。
揺れ
が小さい場合は、
なので、
(3) は、
(5)
の解で近似できる。(5) は 2 階線形常微分方程式なので容易に解くことができ、
(6)
とすれば、
(7)
の単振動の解が得られる。この解の振動周期
は、
(8)
となる。
次節以降では非線形の方程式 (3) の解、
および周期などを考えていく。
竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-06