ただし、最後のところに難点があり、 以下の「証明」は厳密には証明になっていないことに注意する。
Step 1.
の場合は、
(1) が成り立つことは容易にわかる。
実際、この場合は左辺は
となるし、
このときは
と
は平行であるから、
と書けるか、または
となるが、
そのどちらを (1) の右辺に代入しても
容易に
となることがわかる。
よって、以後
の場合を考える。
Step 2.
この場合、
と
は平行ではないから、
その 2 つのベクトルが乗る平面 (=
とする) は一つに決まり、
はこの
に垂直なベクトルとなる。
今、
とすると、
これは
に垂直なベクトルなので、
に乗るベクトルとなるが、
,
は
上の一次独立なベクトルであるから、
は
(5)
(6)
Step 3.
この (6) より、
あるスカラー によって
,
は
(7)
実際、
のときは、
で
のときは、
(6) より
となるので、
のときは、
が
,
の両方に垂直なので、
は
に平行となり、
よって
となるから、
(5) の
,
はともに 0 となる。
すなわちこの場合も (7) は、
例えば
に対して成り立つことになる。
結局、この (7) はすべての場合に成り立つので、 これを (5) に代入して、
(8)
Step 4.
あとは、(8) の が 1 となることを示せばよい。
実はこの
は、
,
,
にはよらない定数であるので、
例えば
,
とすると
(
,
,
はそれぞれ
,
,
軸方向の単位ベクトルとする)、
この証明のメインの部分は Step 2., Step 3. であるが、
ここを見るだけでも (1) のような式 (実際には (8))が出てくる理由がわかると思う。
しかし、最後の であることを決定するのが実は結構面倒で、
上の Step 4. では
「ということを用いて、特殊なが
,
,
には無関係である」
それに、[8], [10] には Step 1. や Step 3. のような 細かい話は書かれていないが、 それなりに証明にしようとするとこのようなあまり本質的ではない 細かい議論も必要になってしまい、 逆にそれによって本質的な部分がややぼけてしまうという欠点もある。
ただ、この、Step 4. を含む証明 3 の方法の本質的な部分は、 「証明」としてではなく、 公式 (1) を忘れたときに思い出すには便利な方法だろうから、 全く意味がないわけではないと思う。
竹野茂治@新潟工科大学