4 極だが「高校流の極」ではない例

以下に、「狭義の極(内点)」だが、「高校流の極」ではない、 すなわち増減の変わり目とは言えない例を示す。

なお、以下では極小の例を示すが、$f(x)$ の代わりに $-f(x)$ を考えれば 極小は極大に変わるので、極大の例も簡単に作ることができる。

以下の関数を考える。なお、$a>0$, $0<\theta<1$ は定数とする。

$\displaystyle
f(x) = f(x;a,\theta) = \left\{\begin{array}{ll}
\displaystyle \...
...t(1+\theta\cos\frac{1}{x}\right)
& (x\neq 0)\\
0 & (x=0)
\end{array}\right.$ (1)
この $f(x)$ は偶関数で、 $-1\leq \cos(1/x)\leq 1$ よりすべての $x$ に対して
$\displaystyle (1-\theta)\vert x\vert^a\leq f(x)\leq (1+\theta)\vert x\vert^a
$
となり、よって $x=0$ も含めて連続であり、 $0<\theta<1$ より $x=0$ で「狭義の極小(内点)」の意味で極小となる。

一方、$\cos(1/x)$$x=0$ の近くで激しく $-1$ と 1 の間を振動するから、 $f(x)$ の値は $(1-\theta)\vert x\vert^a$ $(1+\theta)\vert x\vert^a$ の間を振動し、 $x=0$ の近くで増加減少を限りなく繰り返す。 よって、$x=0$ で減少から増加に変わるとは言えない。 それを以下でちゃんと示す。

$x>0$ では

$\displaystyle
f'(x)
= ax^{a-1}\left(1+\theta\cos\frac{1}{x}\right)
+\theta ...
...theta x^{a-2}\left(\frac{ax}{\theta}
+ax\cos\frac{1}{x}+\sin\frac{1}{x}\right)$ (2)
となるので、自然数 $n$ に対して、 $x_n=1/(\pi(n+1/2))$ とすると、
$\displaystyle f'(x_n)
= \theta x_n^{a-2}
\left(\frac{ax_n}{\theta}
+\sin\pi\le...
... x_n^{a-2}
\left(\frac{a}{\theta\pi\left(n+\frac{1}{2}\right)}
+(-1)^n\right)
$
となり、よって $n$ が偶数なら $f'(x_n)>0$$n$ が奇数なら、 ある程度大きい $n$ に対しては $ax_n/\theta<1$ となるから、 $f'(x_n)<0$ となる。 $\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}{x_n}=0$ より $x_n$$x=0$ の近くにいくらでも あるから、$x>0$ の方には $x=0$ の近くにいくらでも $f(x)$ が増加、 減少する点があることになる。 また、$f(x)$ は偶関数なので、$-x_n$ を考えれば $x<0$ でも 同様のことが言える。

よって、この $f(x)$ では、$x=0$ は高校流の極小、 すなわち減少から増加に変わる点であるとは言えない。

なお、この $f(x)$ は、$x\neq 0$ では当然微分可能で、 (2) より $1<a<2$ では $x=0$ の近くでは有界ではなく、 $a=2$ の場合は有界だが $x\rightarrow 0$ での極限は存在せず振動する。 $a>2$ の場合は $f'(x)$ $x\rightarrow 0$ のときに 0 に収束する。

一方、$f'(0)$ は、

$\displaystyle f'(0)=\lim_{x\rightarrow 0}{\frac{f(x)-f(0)}{x}}
=\lim_{x\righta...
...0}{\vert x\vert^{a-1}\mathop{\rm sign}(x)\left(1+\theta\cos\frac{1}{x}\right)}
$
なので、$0<a\leq 1$ のときは $f'(0)$ は存在せず、 $a>1$ ならば $f'(0)=0$ となる。

すなわち、$1<a\leq 2$ のときは、すべての $x$ で微分可能だが $f'(x)$ は連続ではなく、この $f(x)$ はそのような関数の例にもなっている。

竹野茂治@新潟工科大学
2025-11-12