次正方行列
に対して、スカラー
と、
でない
次元数ベクトル
が、
を
の固有値、
を
の、
に関する固有ベクトルと言う。
は
次方程式の解であり、一般には複素数となるが、
各
に対し重複も数えて、
個存在する。
その各固有値
に対して、固有ベクトルは少なくとも一つは存在するが、
これも一般には複素数成分の数ベクトルとなる。
の成分がすべて実数で、
も実数であれば、
それに関する固有ベクトルは実数成分の数ベクトルが取れる。
が
に関する固有ベクトルならば、
(
) も
に関する固有ベクトル、
,
が
に関する固有ベクトルならば、
も
に関する固有ベクトルとなるので、
に関する固有ベクトル全体は、
も入れれば、
1 次元以上の部分ベクトル空間を作る。
の
個の固有値
に対する
個の固有ベクトル
(
) が存在するとき、
を並べた行列を
とすると、
、および (3), (7) より、
![\begin{eqnarray*}AX
&=&
A[\mbox{\boldmath$x$}_1\ \mbox{\boldmath$x$}_2\ \cdot...
...sh{\raisebox{.0ex}{\Large$O$}}& & & \lambda_n
\end{array}\right]\end{eqnarray*}](img97.png)
が一次独立であれば
は逆行列を持つので、
と書ける。これを
の対角化と呼ぶ。対角化により、例えば
は
![\begin{eqnarray*}A^m
&=&
\left(X\left[\begin{array}{cccc}
\lambda_1 & & & \s...
...ebox{.0ex}{\Large$O$}}& & & \lambda_n^m
\end{array}\right]X^{-1}\end{eqnarray*}](img102.png)
さらに、行列
(
) を
列目が
で、
それ以外の列はゼロベクトルとしたものである。すると、
は、
は、
方向のベクトルは変えず、
以外の方向のベクトルはすべて消すような行列で、
方向の射影行列と呼ばれる。
ここにさらに
を左からかけると、
も (10) を満たすことになり、
よって
となる。また、
に対して、
となることもわかる。すなわち射影行列は、
を満たす。
この射影行列により、
は
を右からかければ、
が得られる。これは、
の対角化 (9) の射影行列による
表現であり、行列のスペクトル分解とも呼ばれる。
この場合も、例えば
は、(11) の性質により、
竹野茂治@新潟工科大学