は次の性質を持つことが知られていて、
それをファウルハーバーの定理と呼ぶようである。
は
の多項式として
で割り切れ、
さらにその商は
の多項式で表される (
)。
は
の多項式として
で割り切れ、
さらにその商は
の多項式で表される (
)。
(17) より、
に対する性質 [T1], [T2] は、
に対する次の性質 [T1'], [T2'] に書き直すことができる。
により
となる (
)。
により
となる (
)。
この性質 [T1'], [T2'] を、漸化式 (15) を用いて 直接示すこともできるが、本節では、この [T1'], [T2'] が、 さらに少し変形した形 [S1], [S2] と同等であることを示し、 そちらを証明することで [T1], [T2] が成り立つことを示すことにする。
そのために、
, すなわち
次多項式
を導入すると、
[T1'], [T2'] は次の形に書ける (
)。
で、
かつ
は偶関数 (偶数次の項のみの多項式)
で、
かつ
は奇関数 (奇数次の項のみの多項式)
この、[T1'],[T2'] と [S1],[S2] が同等であることを示そう。
まず、[T1'] が成り立てば、
より、

は偶関数となり、
よって [S1] が得られる。
同様に [T2'] が成り立てば、
より、
より、
[T2'] から
は奇関数となり、
よって [S2] が得られる。
逆に、[S1] が成り立てば、
は
因数定理により
で割り切れるので、
その商を
と書けば
は偶関数なので、
も偶関数の多項式で、
よって
の形に書ける (
も多項式)。よって
は
に戻せば、

同様に、[S2] が成り立つならば、
は、
ある多項式により
は奇関数なので、
も奇関数の多項式で、
特に
であるから
で割り切れ、その商は偶関数となる。
よって、
(
も多項式) の
形になるので、
に戻せば、

よって、あとは [S1],[S2] が成り立つことを示せばよいのであるが、
は、
と同等で、
それは漸化式 (15) から、
成り立つことが帰納的に容易に示される ((15) に
,
を代入すればいずれも 0 になる) ので、
あとは偶関数、奇関数の部分のみ考えればよい。
今、関数
から、新たな関数を作る変換演算子
を、
,
と
定数
,
に対して
さて、あと [S1],[S2] で示すべきは、
「であるが、これは、が偶関数で、
が奇関数であること」
で言えば
「を意味する。よってこれを示すためには、(20) とが
の偶数次の項からなる多項式、
が
の奇数次の項からなる多項式となること」
の
線形性により、
「を示せばよい。あとはこれを実際に計算で示す。の偶数乗 (0 乗以上) の
による変換結果が
の奇数次の項のみで表され、
の奇数乗の
による変換結果が
の偶数次の項のみで表されること」
整数
に対して、
の偶数乗の
の変換結果は
の
奇数次の項のみの式で表されることがわかる。
同様に、
に対して、
の奇数乗の
の変換結果は
の
偶数次の項のみの式で表される。
これで [S1],[S2] が成り立つことが示され、
よって [T1],[T2] が示されたことになる。
竹野茂治@新潟工科大学