上記の広義積分は、いずれも積分範囲の片端で通常の積分が できない場合であるが、 積分範囲の両端で積分ができない「合併型」もある。 その場合は、2 重極限で考えればよい。
は
上の関数で、
となる任意の
に対し、
上
は有界かつ積分可能で、
では有界ではないとする。
となる
をひとつ取って考え、
での
の
原始関数のひとつを
とする。例えば、
逆に、(15) の有限な極限値が存在する場合、
これは ,
に関する独立な極限なので、
(16) の極限が両方とも存在する必要がある。
つまり、(10) が存在するかどうかは、
(16) の両方が存在するかどうかに
一致することになる。
さらにこの場合、
は、(14) により、
つまり、(10) の 2 重極限による定義を、
なるひとつの
に対して、
(17) の両方の広義積分が有限値で存在するときに (17) によって定義する、としても同じことになる。
実際 (10) の広義積分をそのように定義している本も多い。
なお、この は
内であればなんでもよく、
ひとつの
に対して広義積分が存在すれば
他の
に対しても当然積分は存在して同じ値になるし、
ひとつの
に対して存在しなければ、他の
に対しても存在しない。
これは、(11), (12), (13) についても同様であり、
ただし、注意しなければいけないのは、 (10) の 2 重極限を、簡単にひとつにまとめて、
とやってはいけないことである。 2 つの極限の近づき方が独立でないと (10) とは違うものになる。 (10) が存在すれば、(18) も存在して、 確かに両者は同じ値になるが、逆は必ずしもそうではなく、 すなわち (18) は有限値で存在しても、 (10) が存在しない例が作れる。 例えば、なお、(10) が存在せず (18) が 存在する場合、(18) を (10) の 「主値」や「有限部分」などと呼ぶ場合がある。
また、もうひとつの合併型として、積分区間 の内部
(
) で
有界でない場合も考えられるが、その場合は
合併型の広義積分の具体例としては、ベータ関数
竹野茂治@新潟工科大学