2 ケイリー・ハミルトンの公式
まず、ケイリー・ハミルトンの公式を紹介する。
2 次の正方行列に対しては、次のようになる。
定理 1
に対し、
(1)
が成り立つ (
は単位行列、
はゼロ行列)。
証明
3 次以上の行列にも同様のことが成り立つことが知られているが、
それを説明するには行列式 (教科書 [1] 第 3 章) が必要となる。
次正方行列
に対して、行列式
(2)
で定まる
次多項式を
の固有多項式と呼ぶ。
一般のケイリー・ハミルトンの公式は以下のようになる。
定理 2
次正方行列
に対し、
が成り立つ。
定理 2 の証明は易しくはない。
なお、多項式
に対し、正方行列
を代入した式、すなわち行列の多項式は、
と定める。
と
は可換なので、
多項式に対して
が成り立てば、
行列に対しても
が成り立つ。
に対しては、
なので、定理 2 の
の場合が
定理 1 になる。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-11-27