2 巾乗の相似性
まず、前節で述べた、放物線の相似性について説明する。
放物線は、形を変えずに平行移動するか上下反転することで、
(1)
のグラフに変えることができる。この関数のグラフは、
(2)
のグラフを
方向に
倍したものになっているが、
であってもこれが (2) と相似になる。
それを以下に示す。
まず、
とする。
(1) と (2) のグラフが相似ということは、
(1) のグラフを
方向と
方向に等しく
倍 (
) したものが (2) のグラフに一致するような
が存在する、ということになる。
のグラフを
方向と
方向に
倍すると、それは
のグラフになるので、
とすれば、
これは確かに (2) と一致する。
この性質は、放物線だけでなく、巾乗
(3)
(およびその定数倍) も同様の性質、
すなわちグラフの
方向への任意の拡大が、
元のグラフに相似になるという性質を持つ。
(3) のグラフを
方向に
倍 (
) して、
,
方向に
倍 (
) すると、
となるので、
, すなわち
とすれば、すべての
に対して
(4)
となり、
方向の
倍が元のグラフと相似になることがわかる。
なお、これは
、すなわち
については言えず、
は相似拡大しても
のままなので、
に相似にはならない。
本稿では、(4) の性質を持つ
が、
(
) の定数倍以外にもあるかどうかについて考える。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-07-24