最速降下線問題の場合 ([1]) は、
出発点は逆さサイクロイドの最高点 (傾きが無限大のところ) なので、
が大きい場合の
軸の下にもぐりこむ解を含めて、
すべての
,
(
,
) に対して一つの最適解が求まったが、
この等時降下曲線の方は出発点 A は必ずしも逆さサイクロイドの最高点ではなく、
むしろ終点 O が最下点 (傾きが 0 のところ) と固定されるので、
解が求まらない場合もある。
より具体的には、境界条件は ,
であるから、
とならなければいけないので、
これを満たす
、すなわち、
単純に考えて、この逆さサイクロイド曲線の右半分では、
なので、
ならば解が求まるが
の場合は解がないだろうと予想される。
今、
とすると、
逆に、 の場合は (11) の解がないので、
滑らなかな等時降下曲線 (サイクロイド) で O と A を結ぶことはできず、
A から降ろした逆さサイクロイドは原点まで届かない。
A を通り、
軸上で最下点 (B とする)、すなわち傾きが 0 となるような
逆さサイクロイドは一意には決まらないが、
その B の
座標は
以上となる。
しかしあえて言えば、この場合は B から原点 O まで 落し穴を掘ってまっすぐ真下に落ちる道を作って、 そのサイクロイドと落し穴道をつないだものが 解らしきものになるといえなくもない (図 3)。
AB の間は逆さサイクロイドなので どこからスタートしても同じ時間で B までくるし、 落し穴 BO を落ちる時間を考えると、 逆さサイクロイドの高いところからすべってきた場合は当然 B での 速度は大きいのであるが、B では逆さサイクロイドは水平なので B でのしかし、厳密に言えばこの曲線では AB 間をスタートした場合は等時降下性を満たすが、 BO 間をスタートした場合は等時降下性を満たさないので、 やはりこの落し穴つきの解は元の問題の解とは言えないだろう。
なお、A を通って 軸で最下点になる
逆さサイクロイドの中で
軸に最も早く達するのは、
で傾きが無限大になるもので、
しかもその場合 B の
座標が最も小さくなる (
)。
これが BO の通過時間を合わせても一番早く落ちてくる。
竹野茂治@新潟工科大学