4 連続曲線の交点
前節と同様の方法で、2 次元のブラウアーの不動点定理を用いて、
問題 2 を考えることにする。
問題 2 の
で表される曲線を
、
で表される曲線を
と書くこととし、
2 変数関数
,
を
 |
(6) |
と定める (
,
,
)。
前節と同様に、
,
を十分小さく取れば、
すべての
に対して、
 |
(7) |
となることを示すことが目標となる。
もし、これが言えれば、2 次元のブラウアーの不動点定理を適用することで、
となる
が存在し、
そしてこれは (6) より明らかに
を意味するので、
と
の交点の存在が示されることになる。
なお、今後は (7) を示すわけであるが、
そのために
と
の交点が存在しない、と仮定してよいことに注意する。
つまり、背理法で考え、
と
の交点が存在しないと仮定するとき、
(7) が十分小さい
,
に対して言えてくれれば、
上の論法でブラウアーの定理により交点の存在が言えてしまうので矛盾、
となるからである。
前節と同じ論法で、もし
が言えないとすると、
か、
となる点列
,
が取れることになるが、
まず
となる
が無限にある場合を考えると、
,
は有界であるから、
 |
(8) |
より、
から
が言える。一方、(8) より、
であり、
と (2) より
となるので、
よって
となる。
は有界無限点列であるから集積点を持ち、
その集積点を
とすれば、
,
は連続であるから
となることが言える。
これは、
,
しかありえないが、
この点
は
上の点で
かつ
の終点であるから、両者の共有点となる。
よって交点がないとしているので矛盾となる。
他の 3 通り (
,
,
) の場合も、
同様の論法でいずれも (2) と
,
の連続性から
矛盾が導きだせるので、
結局 (7) とできることが言え、
そこから連続曲線の交点の存在を示せることになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2012年4月16日