2 変数関数
に対する
方向の偏微分係数
の値は、
における
方向の
の変化率、
方向の接線の傾きを示す。
それは、
の定義が、
(1)
だからであり、
から
への
方向の変化を見ているからである。
同様に、
方向の偏微分係数
は、その定義
(2)
より、
における
方向の
の変化率、
方向の接線の傾きを示す。
これらに対し、一般の方向の変化率、一般の方向の接線の傾きを示すのが
「方向微分係数」である。
今、
を単位ベクトル (長さ 1 のベクトル) とする。
平面ベクトルの場合、単位ベクトルは、
角
(
) を用いて
(3)
と表すこともでき、
は、
の方位を示す。
この
方向の
の変化率を考える。
から
方向に長さ
だけ離れた点は、
より、
と書くことができる。よって、
(4)
が
方向の平均変化率を表し、
方向 (角
方向) の
での方向微分係数は、
(5)
と定義される。
今、合成関数
を
(6)
と定めると、(5) は、
(7)
となる。一方、(6) の導関数は、
偏微分に関する合成関数の微分法により、
となるので、
とすれば
(8)
となる。ここで、
(成分が関数のベクトル) を、
(9)
と定めると、(8) は
と
との
内積となる。
よって (3), (5), (7), (8) より、次のことがわかる。
命題 1
このように、一般の方向の傾きである
方向微分係数は、
,
方向の傾き
,
を用いて
表されることになるが、それは接平面が
,
のみ
で決定することにも対応する。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-24