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(PDF ファイル: quotef4.pdf)
2 共役による対称性
分子が奇数次の場合は容易に積分できるので、
ここでは分子が偶数次の場合にのみ限定し、
を考えることにする。
なので
[3] で述べたように、
 |
(1) |
のように部分分数分解できる。
ここで、
は
に関する実数係数の
次の整式とし、
,
は複素数係数の高々
次の整式になる。
分母を払えば、
 |
(2) |
となるが、
は実数係数なのでこの両辺の共役を取ると、
 |
(3) |
となる。ここで、
は、
の係数を
すべて共役複素数にした整式を意味する。
(2), (3) により、
よって、
が成り立つ。
であれば
左辺の因子である
は右辺の因子にもなるが、
それは
とは互いに素なので、
は
の因子であるはずである。
しかし、
の次数
は
であるから、
これは
を意味し、それは
に反する。
よって背理法により
となるので、
(1) は、
 |
(4) |
という形になる。
(1) だと、
,
の自由度があるが、
(4) だと
だけの自由度なので
未定係数法で考える場合多少楽になる。
しかし、
が高々
次式だとは言ってもその係数は複素数なので、
係数は複素数
個、すなわち実数
個の自由度がまだあることになる。
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竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日