2 基本事項
まずは、本稿の例を説明するのに必要な、固有値、固有ベクトルに関する
線形代数の基本事項をいくつか紹介する。
詳しくは、線形代数の本を参照のこと。
次正方行列
に対して、
と
なるスカラー
、
でないベクトル
が
存在するとき、
を固有値、
をそれに対応する
固有ベクトルという。
- 固有値は、固有方程式
の解であり、
固有ベクトルは、同次連立方程式
の
解で、固有値
に対する固有ベクトルは必ず存在し、
に対する固有ベクトル全体はベクトル空間をなす。
- 固有値は、一般には虚数となることもあり、
その場合は固有ベクトルの成分も複素数となる。
の成分が実数で固有値が実数なら、
固有ベクトルの成分も実数となる (本稿では主にこちらを扱う)。
となる正方行列を対称行列、
となる正方行列を直交行列 という。
-
より、
と
の固有値は等しい。
の固有値
に対して、
となる行ベクトル
を
左固有ベクトルと呼ぶ。
の左固有ベクトルは、
の固有ベクトルの転置。
- 直交行列
の
列ベクトル
は
の
正規直交基底で、
の行列式は
。
- 直交行列
による変換で、内積と長さは保存される。すなわち、
,
- 3 次の直交行列
の固有値のうちの 1 つは
であり、
(cf. [4])。
竹野茂治@新潟工科大学
2024-02-29