方程式 (3) は, ,
が
滑らかであれば,
補償コンパクト性理論では, 非線形な汎弱極限を記述する, 以下の Young 測度と呼ばれるものが重要な働きをする:
,
で
は有界閉集合,
![]()
とすると, 以下を満たす
の部分列
と,
と,
のほとんど 至るところの
に対して定義される
上の確率測度 (非負で全測度 1 の Borel 測度) の族
が存在する.
一様有界な関数列 からは汎弱収束 (weak
) す
るような部分列が取れるが, 汎弱収束のような弱い収束では,
が
に収束しても, 一般にはそれを非線形関数
に代入した
は,
に収束するとは言えない.
例えば
の汎弱収束では
であるが,
となる.
その
の極限を,
の確率測度での積分 (平均値) として記述するような測度が, Young 測度である. ちなみに,
に対する Young 測度
は, 非特異な絶対連続測度
となる[10].
の極限が通常の
になることは, Young 測度で言えば
がデルタ関数
で
あることを意味し, その場合は
が
に
強収束する.
方程式 (3) に対する近似解の有界性から
得られる Young 測度
を, この方程式に豊富に存在する弱エントロピー対に対して
適用したのが Tartar 方程式 (2) に現れる各項で, さらに (3) に対して補償コンパクト性理論
を用いて得られる関係式が Tartar 方程式 (2) で
ある.
Young 測度
が
デルタ関数であることを決定することが, 近似解の強収束性と弱解の存在を示すことになるので, この方法では任意の弱エントロピー対に対して成立する Tartar 方程式 (2) から Young 測度を決定することが目標となる.
竹野茂治@新潟工科大学